「第一志望の合格発表はまだなのに、滑り止めの私立大学の入学金を払わないといけない……。」
「進学しないかもしれない大学に20~30万円も払って、辞退しても返ってこないのはおかしくない?」
「複数の大学に払うことになったら、家計的にかなり厳しい……。」
私立大学を併願すると、このような入学金の問題に直面する家庭があります。
特に納得しにくいのが、第一志望の合格発表を待つために滑り止めの私立大学へ入学金を払い、最終的に進学しなくても返ってこないケースです。
「授業を受けていないのになぜ返金されないの?」と疑問に感じる方も多いでしょう。
一方で、入学金は必ずしも「払ったら絶対に戻ってこない」とは限りません。
近年は入学辞退者への返還に対応する大学も出てきており、延納・納付猶予などによって二重払いを避けられる可能性もあります。
また、家計状況などによっては、高等教育の修学支援新制度による入学金の減免を受けられる場合もあります。
この記事では、以下の内容について分かりやすく解説します。
- 私立大学の入学金が「おかしい」と言われる理由
- 入学辞退しても入学金が返ってこない理由
- 滑り止めと第一志望で二重払いが起こる仕組み
- 入学辞退した場合に返金してもらえる可能性
- 入学金の二重払いを避けるためにできること
- 入学金を払うのが厳しい場合に利用できる制度
すでに滑り止めに合格して「払うべきか」と迷っている方も、これから受験校を決める方も、まずは支払う前に利用できる制度や各大学の納付条件を確認することが大切です。
私立大学の入学金がおかしいと言われる理由
「実際には入学しない大学なのに、なぜ20万円以上も払わなければならないの?」と疑問に感じる保護者は少なくありません。
特に滑り止めとして私立大学を受験する場合、第一志望の結果が出る前に入学金の納付期限を迎えることがあります。
支払わなければ進学先を確保できず、支払ったあとに第一志望へ合格すれば、その入学金は戻ってこないことが一般的です。
つまり、「進学先を確保するためには、無駄になるかもしれないお金を先に払わなければならない」という状況が、「私立大学の入学金はおかしい」と感じる大きな理由です。
しかも、この問題は単純に「入学金が高い」という話だけではありません。
- 進学しない大学でも入学金が返ってこない
- 第一志望の結果が出る前に支払いを迫られる
- 併願の仕方によっては複数校への支払いが発生する
- 数十万円の負担によって受験する大学まで左右される
こうした仕組みが重なることで、受験生だけでなく、実際にお金を準備する保護者にとっても大きな問題になっています。
進学しない大学でも入学金が返ってこない
私立大学の入学金に対して特に納得しにくいのが、最終的に入学を辞退しても、支払った入学金が原則として返還されないことです。
たとえば、第一志望とは別の私立大学に合格し、進学先を確保するために入学金を支払ったとします。
その後、第一志望に合格して滑り止めの大学を辞退しても、一度納めた入学金は返ってこないことが一般的です。
保護者からすれば、「子どもは一度も通っていない」「授業も受けていない」「大学の施設も利用していない」という状態です。
それでも20万円を超えることもあるお金が戻らなければ、「何に対してこれだけのお金を払ったの?」と感じるのは自然でしょう。
ただし、入学金は授業を受けるためのお金ではなく、法律上は大学へ入学できる地位を得るための対価という性質があると考えられています。
そのため、実際に大学へ進学しなかったという理由だけで、大学側に当然の返還義務が生じるわけではありません。
ここが、一般的な感覚と現在の制度との間に大きなズレを生んでいます。
「入学しなかったのだから返してほしい」という家庭側の感覚と、「入学できる地位を確保した時点で対価が発生している」という制度上の考え方が異なるのです。
なお、近年はこの負担が問題視され、入学辞退時に入学金の全部または一部を返還する大学も出てきています。
そのため、「私立大学の入学金は絶対に返ってこない」と決めつけず、受験する大学の募集要項や入学金返還制度を確認することが重要です。
第一志望の合格発表前に納付期限が来る
私立大学の入学金問題をさらに複雑にしているのが、第一志望の合格発表と滑り止め大学の入学金納付期限がずれることです。
特に国公立大学を第一志望として私立大学を併願すると、この問題が起こりやすくなります。
たとえば、滑り止めの私立大学には合格したものの、第一志望の合格発表はまだ先というケースです。
ここで私立大学の入学金を払わなければ、第一志望が不合格だった場合に進学先を失ってしまう可能性があります。
一方、念のため入学金を払っておき、第一志望に合格すれば、滑り止めに払ったお金が戻ってこない可能性があります。
つまり保護者は、次のような選択を迫られます。
- 入学金を払って、滑り止めの進学先を確保する
- 数十万円を失う可能性を避けて、第一志望の結果に賭ける
どちらを選んでもリスクがあるため、「そもそも第一志望の結果が出るまで待ってくれればいいのに」と感じる家庭も多いでしょう。
入学金そのものの金額以上に、「払うかどうかを第一志望の結果が分からない段階で決めなければならないこと」が、この問題のつらい部分です。
このような入学金の負担については国や自治体でも問題として取り上げられており、文部科学省も私立大学に対して、納付時期の工夫や分割納付、返還などの負担軽減策を検討するよう求めています。
そのため、これから併願校を決める場合は偏差値や受験日だけでなく、「第一志望の合格発表日」と「滑り止めの入学金納付期限」の組み合わせまで確認しておくことが大切です。
併願すると入学金を二重に払うことがある
さらに注意したいのが、私立大学を複数併願した場合の「入学金の二重払い」です。
第一志望だけでなく第二志望、第三志望と複数の大学を受験すると、それぞれの合格発表日と入学手続期限が異なります。
その結果、すでに1校の入学金を払ったあとで、より志望順位の高い大学に合格し、そちらにも入学金を払うケースがあります。
たとえば、私立大学Aの入学金を支払って進学先を確保したあと、私立大学Bに合格したためBにも入学金を支払い、さらに第一志望へ合格するというケースです。
最終的に進学する大学は1校でも、進学先を段階的に確保するために複数回の支払いが発生する可能性があります。
「合格したのはうれしいのに、また入学金を払わなければならない」という状況になれば、保護者が複雑な気持ちになるのも無理はありません。
しかも、これは単に受験校を増やした家庭だけの問題とは限りません。
「確実に進学できる安全校」「できれば進学したい私立大学」「第一志望」と段階をつけて受験する一般的な併願戦略でも、納付期限の組み合わせによって二重払いが発生することがあります。
そのため、受験校を決める際には受験料だけで判断せず、合格した場合にいつ、いくら支払う必要があるのかまで含めて併願スケジュールを作ることが重要です。
20~30万円程度の負担が家計に重い
「20~30万円くらいなら、大学進学費用の一部だから仕方ない」と考える人もいるかもしれません。
しかし、問題なのはそのお金が実際に進学する大学へ支払う費用ではなく、進学しない可能性のある大学に支払うお金になることです。
大学進学の時期には、入学金以外にもさまざまな支出が重なります。
- 進学先の授業料や施設設備費
- 教科書やパソコンなどの購入費
- 通学定期などの交通費
- 一人暮らしを始める場合の敷金・礼金や引っ越し費用
こうした支出を控えている時期に、進学しない大学への20~30万円が加われば、家計への影響は決して小さくありません。
さらに2校へ支払えば、単純計算で40~60万円程度になる可能性もあります。
貯蓄に余裕がある家庭と、教育費を毎月やりくりしながら準備してきた家庭では、この負担の意味も大きく異なります。
入学金の問題は「数十万円がもったいない」というだけではなく、その負担によって受験できる大学や進路の選択肢まで狭くなる可能性があることが重要です。
実際、入学金の二重払いについては、家庭の経済状況によって受験先を絞らざるを得ない可能性があるとして、議会などでも問題視されています。
「子どもにはできるだけ希望する大学を受験させたい」と思っていても、合格後に数十万円ずつ必要になると分かれば、最初から併願校を減らす判断をする家庭もあるでしょう。
だからこそ、「私立大学の入学金がおかしい」という不満は、単なる金額への不満だけではありません。
進学しない大学にも支払いが必要になること、第一志望の結果を待てないこと、そして家庭の経済力が受験戦略にまで影響すること。
こうした複数の問題が重なっているからこそ、私立大学の入学金制度に疑問を感じる保護者が多いのです。
私立大学の入学金はなぜ返ってこない?
「結局その大学には通わないのに、どうして入学金だけ返してもらえないの?」と疑問に感じる保護者は多いでしょう。
授業を一度も受けていなければ、支払ったお金は返してもらえるように思えます。
しかし、私立大学の入学金は授業料とは異なる性質のお金として扱われています。
入学金は授業を受けるためのお金ではなく、「その大学に入学できる地位を得るためのお金」と考えられていることが、原則として返還されない大きな理由です。
そのため、第一志望に合格して滑り止めの私立大学を辞退しても、「実際には通わないから返金してほしい」という理由だけでは返還されないことがあります。
ただし、近年は入学辞退者に入学金を返還する大学も出てきています。
「一度払ったら絶対に返ってこない」と考えるのではなく、まずは受験する大学の募集要項や入学手続案内を確認することが大切です。
入学金は「入学できる地位を得るためのお金」
入学金が返ってこない理由を理解するうえで重要なのが、そもそも入学金は何に対して支払っているお金なのかという点です。
一般的な感覚では、大学に支払うお金をすべて「学費」と考えてしまいがちです。
しかし、入学金と授業料では意味が異なります。
入学金については、最高裁判決で「大学に入学し得る地位を取得するための対価」としての性質を持つと示されています。
簡単に言えば、入学金を支払うことで「この大学に進学できる状態を確保した」と考えると分かりやすいでしょう。
たとえば、滑り止めの私立大学に合格したものの、第一志望の結果がまだ出ていないケースを考えてみます。
入学金を支払えば、第一志望が不合格だった場合でも滑り止めの大学へ進学できる状態を確保できます。
その後に第一志望へ合格して滑り止めを辞退したとしても、大学側からすると「入学できる地位はすでに提供した」という考え方になります。
そのため、実際に大学へ通ったかどうかだけで入学金の返還義務が決まるわけではありません。
とはいえ、保護者からすれば納得しにくい部分でしょう。
「席を確保しただけで20万円以上かかり、しかも進学しなくても戻らないのは高すぎる」と感じるのも無理はありません。
つまり、「入学金がおかしい」という不満の背景には、制度上の入学金の意味と、家庭側が感じる金額の重さとのギャップがあります。
授業料と入学金では返金の扱いが違う
「入学金が返ってこないなら、先に払った授業料も全部返ってこないの?」と不安になる方もいるでしょう。
ここは入学金と授業料を分けて考える必要があります。
入学金と授業料では、お金を支払う目的が異なるためです。
- 入学金:大学に入学できる地位を得るためのお金
- 授業料:大学から教育を受けるためのお金
入学金は、入学できる地位を取得した時点で役割を果たしたと考えられるため、入学を辞退しても原則として返還されません。
一方、授業料は実際に教育を受けることへの対価という性質があります。
そのため、入学前の一定の時期までに辞退を申し出た場合には、授業料などが返還されることがあります。
「入学辞退=大学に払ったお金がすべて返ってこない」というわけではありません。
たとえば、入学金と前期授業料をまとめて納付したあとに第一志望へ合格した場合でも、入学金は返還されない一方で、授業料については返還される可能性があります。
ただし、返還される費用や辞退手続きの期限は大学によって異なります。
特に注意したいのが、「いつまでに入学辞退を申し出れば返還されるのか」という期限です。
第一志望への合格が分かったら、滑り止め大学への連絡を後回しにせず、募集要項や入学手続案内を確認しましょう。
入学金が返金されなくても法律上問題ない?
「入学していないのにお金を返さないなんて、法律上問題ないの?」と感じる方もいるでしょう。
結論から言えば、入学を辞退した学生に対して大学が入学金を返還しないこと自体が、直ちに違法になるわけではありません。
大学の入学金や授業料の返還をめぐっては過去に裁判があり、最高裁判所も判断を示しています。
最高裁判決では、入学金は大学に入学し得る地位を取得するための対価としての性質を持つとされています。
そのため、入学金が不当に高額であるなどの特別な事情がない限り、学生が入学を辞退したからといって大学側が返還義務を負うものではないと考えられています。
一方で、授業料などについては扱いが異なります。
入学年度が始まる前の一定の時期までに入学を辞退した場合には、授業料などを返還する必要があるとされたケースがあります。
つまり、「大学に払ったお金だから全部返ってこない」という仕組みではありません。
ここで大切なのは、「法律上認められていること」と「家庭にとって納得できる制度かどうか」は別の問題だという点です。
第一志望の結果が出る前に20万円以上を支払い、進学しなかったとしても返ってこない仕組みに、不公平感を持つ家庭があるのは当然でしょう。
特に家計に余裕がなければ、「返ってこないなら仕方ない」と簡単に割り切れる金額ではありません。
こうした受験生や家庭の負担が大きいことから、現在は入学金の負担を軽減するよう大学側に求める動きも進んでいます。
入学金を返還する大学も出てきている
これまで私立大学の入学金は「一度払ったら返ってこないもの」と考えられることが一般的でした。
しかし、近年は入学辞退者への入学金返還に対応する大学も出てきています。
背景にあるのが、第一志望と滑り止めの大学で発生する「入学金の二重払い」に対する問題意識です。
文部科学省も私立大学に対して、学生や保護者の負担を軽減するため、入学料の負担軽減策を検討するよう求めています。
大学によって対応は異なりますが、次のような方法が考えられます。
- 入学辞退時に入学金を全額返還する
- 入学金の一部を返還する
- 入学手続きに必要な費用の納付期限を遅らせる
- 入学金や授業料などを分割して納付できるようにする
ただし、入学金を返還する大学であっても、すべての合格者が無条件で対象になるとは限りません。
対象となる入試方式や入学辞退の期限、必要な手続きなどが定められている場合があります。
そのため、大学名だけを見て「ここなら返してもらえる」と判断するのではなく、自分が受験する入試方式まで含めて返還条件を確認することが重要です。
特にこれから滑り止めの私立大学を選ぶ家庭なら、偏差値や通学時間だけでなく、次の項目も比較してみましょう。
- 入学金はいくらか
- 入学金の納付期限はいつか
- 第一志望の合格発表まで延納できるか
- 入学辞退した場合に返還制度があるか
同じような条件の滑り止め候補が2校あるなら、「入学金を返してもらえるか」「第一志望の結果まで支払いを待ってもらえるか」も大学選びの判断材料になります。
入学金問題は、合格してから初めて調べると納付期限まで時間がなく、選択肢が限られてしまいます。
「滑り止めだから仕方なく20~30万円を捨てる」と最初から諦めず、受験校を決める段階で返還・延納などの制度まで確認しておくことが、無駄な負担を減らす第一歩です。
滑り止めの私立大学で起こる「入学金二重払い」
私立大学の入学金で特に大きな不満につながりやすいのが、滑り止めと第一志望の両方にお金を払う「入学金二重払い」です。
「最終的に進学する大学は1校なのに、なぜ複数の大学に入学金を払わなければならないの?」と納得できない保護者も多いでしょう。
しかし、大学ごとに合格発表日や入学手続きの期限が異なるため、進学先を確保しながら第一志望の結果を待とうとすると、入学金を複数回支払うことがあります。
入学金の二重払いは「ぜいたくに何校も確保した結果」とは限らず、第一志望に挑戦しながら進学先を失わないために発生することがあります。
さらに、入学金は原則として返還されないため、第一志望に合格すると滑り止めに払った数十万円がそのまま家計の負担になることもあります。
ここでは、なぜ入学金の二重払いが起こるのか、複数校へ支払うとどの程度の負担になるのかを具体的に見ていきましょう。
第一志望の結果を待つために入学金を払うケース
入学金の二重払いが起こりやすいのが、滑り止めの合格が先に決まり、第一志望の合格発表が後になるケースです。
たとえば、国公立大学を第一志望にしながら私立大学を滑り止めとして受験したとします。
私立大学には合格したものの、その入学手続き期限までに第一志望の結果が分からなければ、保護者は難しい判断を迫られます。
滑り止めの入学金を払わずに期限を過ぎれば、第一志望が不合格だった場合に進学先を失う可能性があります。
一方で入学金を払っておけば進学先は確保できますが、その後に第一志望へ合格すると、滑り止めに支払った入学金が返ってこないことがあります。
つまり、「第一志望に落ちた場合に備えるため、無駄になる可能性を承知で数十万円を払う」という判断が必要になるのです。
これは保護者にとって簡単な選択ではありません。
「20万円以上を失うかもしれないから払わない」と決めた結果、第一志望にも不合格になれば、子どもの進学先そのものがなくなる可能性があります。
そのため、家計に余裕がなくても「念のため払っておくしかない」と考える家庭もあるでしょう。
「払いたいから払う」のではなく、「進学先を失わないために払わざるを得ない」と感じやすいところが、入学金二重払いへの不満につながっています。
さらに、第一志望が国公立大学とは限りません。
私立大学同士を併願している場合でも、志望順位の低い大学の納付期限が先に来れば、同じ問題が起こります。
たとえば第三志望の大学に入学金を払ったあと、第二志望に合格して再び入学金を払い、最後に第一志望へ合格するというケースも考えられます。
この場合、進学先は1校でも、そこへたどり着くまでに複数校への支払いが発生する可能性があります。
そのため併願計画を立てる際は、受験日と合格発表日だけでなく、各大学の入学金納付期限まで時系列で確認することが重要です。
複数の大学に払うといくらかかる?
入学金の二重払いが家計にどれほど影響するのかは、実際の金額に置き換えると分かりやすくなります。
私立大学の入学金は大学や学部によって異なりますが、20万円台に設定されているケースが多くあります。
仮に1校あたり25万円として考えると、支払う大学が増えるほど負担は次のように大きくなります。
- 1校に支払う場合:25万円
- 2校に支払う場合:50万円
- 3校に支払う場合:75万円
もちろん、複数の大学に合格したからといって、必ずすべての大学へ入学金を払うわけではありません。
しかし、合格発表と納付期限の順番によっては、より志望順位の高い大学の結果を待つために、すでに合格している大学へ支払わざるを得ないことがあります。
特に注意したいのは、この金額とは別に、最終的に進学する大学への入学金や授業料なども必要になることです。
入学金だけでなく、その後の授業料や生活費まで考えると親の負担は大きくなります。
大学費用を親がどこまで出す家庭が多いのかについても、あわせて確認してみてください。
たとえば滑り止めに25万円を払い、その後に第一志望へ合格した場合、滑り止めの25万円が戻らなくても、第一志望の入学手続き費用は別に準備しなければなりません。
「滑り止めに25万円を払えるか」ではなく、「滑り止めに25万円を払ったあとでも、本命大学の入学費用を用意できるか」まで考えておく必要があります。
ここは受験前には見落としやすいポイントです。
受験料については「1校いくら」と計算していても、合格後に発生する入学金まで含めて併願費用を計算していない家庭もあるでしょう。
さらに大学入学前後には、授業料や施設設備費、パソコン代、教科書代、通学費などの支払いも重なります。
一人暮らしを始める場合には、引っ越し代や賃貸住宅の初期費用、家具・家電なども必要です。
その時期に進学しない大学への20~30万円程度の支払いが重なれば、「入学金だけの問題」として簡単に片付けられません。
二重払いで失う数十万円は、本来なら進学後の授業料や新生活の準備に使えたお金でもあります。
だからこそ、入学金が返ってこないことに強い不満を感じる保護者がいるのです。
入学金の負担で併願校を減らす家庭もある
入学金の二重払いでさらに問題となるのが、家庭の経済状況によって受験できる大学の選択肢まで変わる可能性があることです。
併願校を増やせば、一般的には進学先を確保できる可能性も高くなります。
しかし、受験校が増えれば受験料が増えるだけでなく、合格後に複数の入学金を支払う可能性も出てきます。
そのため、「本当はもう1校受験させたいけれど、入学金まで考えると厳しい」と判断する家庭も考えられます。
これは単に「受験費用を節約する」という問題ではありません。
たとえば第一志望と安全校の間にもう1校受験したい大学があっても、その大学の納付期限が早ければ、合格後に20万円以上の支払いが発生する可能性があります。
その結果、「受験できる学力はあるのに、入学金の二重払いが怖くて受験校を減らす」という判断につながる可能性があります。
経済的に余裕のある家庭なら、滑り止めの入学金を「進学先を確保するための費用」と割り切れるかもしれません。
一方で数十万円をすぐに用意するのが難しい家庭では、同じようには判断できません。
この違いによって、受験できる大学や第一志望へ挑戦できる範囲に差が生まれるのであれば、入学金問題は単なる「もったいない」という話を超えてきます。
家庭の経済力が、子どもの併願戦略や進路選択にまで影響する可能性があるからです。
実際に入学金の二重払いをめぐっては、経済的に余裕のない家庭が受験先を絞らざるを得ないことや、教育機会への影響も問題として議論されています。
だからといって、入学金が不安だからという理由だけで、最初から併願校を減らす必要はありません。
大学によっては入学金の返還、延納、分納、納付猶予などの制度を用意している場合があります。
同程度に進学を希望する滑り止め候補が複数あるなら、偏差値や通学時間だけでなく、「入学金の納付期限」と「返還・延納制度」も比較することで負担を減らせる可能性があります。
受験校を減らす前に、「第一志望の結果が出るまで待てる大学はないか」「辞退時に入学金が返還される大学はないか」を確認することが大切です。
入学金の二重払いは完全に避けられるとは限りませんが、合格後に初めて考えるのではなく、受験校を決める段階から納付期限まで確認しておけば、不要な支払いを減らせる可能性があります。
私立大学はなぜ入学金制度を続けているの?
「これだけ負担が大きいと言われているのに、なぜ私立大学は入学金制度を続けているの?」と疑問に感じる方もいるでしょう。
特に、滑り止めの大学に20~30万円程度を払い、結局進学しなかった経験があれば、「大学は返ってこない入学金で利益を得ているだけでは?」と感じるかもしれません。
しかし、大学側が入学金を設けている理由は、単純に収入を増やすためだけではありません。
入学予定者を早い段階で把握し、実際に何人の学生を受け入れることになるのか予測する役割もあります。
大学は入学者数に合わせて授業や教員、教室などを準備する必要があるため、合格者のうち何人が実際に入学するのかを把握することが重要です。
一方で、こうした大学側の事情があったとしても、進学しない家庭が数十万円を負担する現在の仕組みが妥当なのかという問題は残ります。
そのため近年では、入学金を完全に廃止するかどうかだけではなく、返還や延納などによって受験生側の負担を軽くできないかという見直しも進められています。
入学予定者を早めに把握するため
私立大学が入学金制度を続ける理由の一つが、実際に入学する可能性が高い学生を早い段階で把握するためです。
大学が合格者を発表しても、その全員が入学するとは限りません。
特に私立大学では複数の大学を併願する受験生も多く、第一志望に合格すれば別の大学を辞退するケースがあります。
たとえば1,000人に合格を出したとしても、最終的に何人が入学するのかは合格発表の時点では確定していません。
そこで大学側にとって一つの判断材料になるのが入学手続きです。
入学金を納めた学生が何人いるのかを確認することで、最終的な入学者数を予測しやすくなります。
受験生側から見ると「滑り止めの席を確保するためのお金」ですが、大学側から見ると「実際に入学する可能性がある学生を把握するための仕組み」という側面があります。
もし入学金などの手続きがなく、複数の大学に合格した受験生が3月末まで自由に進学先を保留できるとすれば、大学側は入学者数をなかなか確定できません。
入学者数が分からなければ、授業のクラス数や教室、教員配置などの準備にも影響します。
そのため、一定の期限を設けて入学意思を確認すること自体には、大学運営上の理由があります。
ただし、「入学意思を確認する必要があること」と「そのために20~30万円程度を返還しないこと」が同じ問題とは限りません。
ここは「私立大学の入学金がおかしい」と感じている保護者にとって重要なポイントです。
大学側に入学者数を確認する必要性があっても、その負担を進学しない家庭がどこまで負うべきなのかという疑問は残ります。
だからこそ、入学意思を確認する仕組みを残しながら、入学金の返還や納付期限の延長などで家庭の負担を減らせないかが議論されています。
定員管理や大学経営に必要なため
入学金制度には、大学の定員管理や経営上の事情も関係しています。
大学には学部や学科ごとに入学定員があり、大学側は最終的な入学者数を予測しながら合格者を決めなければなりません。
しかし、私立大学では併願による入学辞退が発生するため、合格者数と実際の入学者数は一致しません。
合格者を少なくしすぎれば定員を満たせない可能性があり、反対に多く出しすぎれば想定以上の学生が入学する可能性があります。
そこで入学手続きの状況を確認しながら、大学側は最終的な入学者数を予測します。
入学金は、その過程で学生の入学意思を確認する役割の一つを担っています。
また、私立大学は教職員の人件費、校舎や設備の維持費、教育・研究に必要な費用などを負担しながら運営されています。
入学金も大学の収入の一つであり、大学によっては運営資金に組み込まれています。
少子化によって学生の確保が難しくなっている大学にとっては、収入の仕組みを大きく変更することが簡単ではない事情もあるでしょう。
しかし、ここでも受験生側と大学側では見え方が大きく異なります。
大学にとっては定員管理や経営のために必要な仕組みでも、保護者にとっては「子どもが一度も通わなかった大学へ支払った数十万円」です。
入学金問題が解決しにくいのは、大学側には制度を維持する事情がある一方で、その負担を受験生や家庭が背負っているからです。
特に問題になりやすいのは、家庭側が自由に支払うかどうかを選べるとは言い切れない点です。
滑り止めの入学金を払わなければ、第一志望に不合格だったときの進学先を失う可能性があります。
そのため、「納得できないなら払わなければいい」と簡単に割り切れる問題ではありません。
大学側の事情を理解することと、現在の入学金制度をそのまま受け入れることは別の話です。
定員管理や大学経営に必要な仕組みを残しながら、受験生側の負担をどこまで減らせるのかが重要になります。
入学金制度の見直しを求める動きもある
「大学側にも事情があるなら、これからも入学金の二重払いは変わらないの?」と不安に感じる方もいるでしょう。
しかし、入学金による受験生や家庭の負担については、見直しを求める動きがあります。
特に問題視されているのが、第一志望の合格発表前に滑り止めの入学金を支払わなければならないことです。
家庭に十分な資金があれば、数十万円を払って進学先を確保するという選択ができます。
一方で資金に余裕がなければ、返ってこない可能性のある入学金を理由に併願校を減らしたり、受験そのものを諦めたりする可能性があります。
つまり入学金の問題は、「20~30万円程度がもったいない」という話だけではなく、家庭の経済状況によって受験機会に差が生まれる可能性がある問題でもあります。
こうした負担を軽減するため、文部科学省も私立大学に対して入学料の負担軽減策を検討するよう求めています。
具体的には、次のような対応が考えられます。
- 入学金の納付時期を複数設定する
- 入学金や授業料などの納付を猶予する
- 入学時に必要な費用を分割して納付できるようにする
- 入学辞退者に入学金の全部または一部を返還する
実際に、入学辞退者への入学金返還に対応する私立大学も出てきています。
そのため、「私立大学の入学金はどこでも同じ仕組み」と考えないことが重要です。
大学によって、金額だけでなく納付期限や返還条件、延納制度の有無なども異なります。
これから滑り止めを選ぶ家庭なら、偏差値や通学時間、学びたい内容だけでなく、入学手続きの条件まで比較しておくとよいでしょう。
特に確認したいのは、「第一志望の合格発表より納付期限が早いか」「延納できるか」「辞退した場合に入学金が返還されるか」の3点です。
同じくらい進学したい私立大学が複数あるなら、こうした条件によって数十万円単位で負担が変わる可能性があります。
制度全体がすぐに変わるとは限りませんが、大学ごとの対応には違いが出始めています。
「滑り止めの入学金は返ってこなくて当たり前」と最初から諦めるのではなく、支払う前に返還・延納などの制度を確認することが大切です。
入学金の二重払い・負担を減らす方法
「滑り止めの入学金が返ってこないのは納得できないけれど、進学先を確保するためには払うしかない」と悩んでいる方もいるでしょう。
現在の仕組みでは、第一志望の結果が出る前に滑り止めの入学金を求められることがあるため、二重払いを完全に避けられるとは限りません。
しかし、大学選びや支払い方法を工夫することで、返ってこない入学金を減らせる可能性はあります。
特に重要なのは、合格してから慌てて調べるのではなく、受験校を決める段階で入学金の条件まで確認しておくことです。
入学金の負担を減らす方法は、大きく次の2種類に分けて考えると分かりやすくなります。
- 返還・延納などを利用して、不要な入学金の支払いそのものを減らす
- 入学金減免・奨学金・教育ローンなどを利用して、進学費用の負担を軽くする
給付型奨学金や教育ローンを利用しても、滑り止めに払った入学金が返ってくるわけではありません。
まずは返還や延納によって二重払いを避けられないかを確認し、それでも必要になる進学費用について支援制度を検討する順番がおすすめです。
入学金を返還してくれる大学か確認する
入学金の二重払いを減らすために、まず確認したいのが入学辞退時の返還制度です。
私立大学の入学金は、入学を辞退しても原則として返還されないケースが一般的です。
しかし近年では、受験生や家庭の負担を軽減するため、入学辞退者に入学金の全部または一部を返還する大学も出てきています。
たとえば、滑り止めの大学へ入学金を支払ったあとに第一志望へ合格した場合でも、返還制度の対象になれば負担を減らせる可能性があります。
同じような条件の滑り止め候補が複数あるなら、「入学辞退したときに入学金が返ってくるか」も比較しておきたいポイントです。
ただし、「返還制度あり」と書かれているだけで判断してはいけません。
大学によって返還の条件が異なるため、次の項目まで確認しましょう。
- 入学金は全額返還されるのか、一部返還なのか
- どの入試方式が返還対象になるのか
- いつまでに入学辞退を申し出る必要があるのか
- 返還を受けるために申請が必要なのか
特に注意したいのが、対象となる入試方式と辞退期限です。
同じ大学でも、すべての入試方式で同じ返還制度を利用できるとは限りません。
また、指定された期限を過ぎてから辞退すると返還対象外になる場合もあります。
「入学金を払ったあとだから、もう戻ってこない」と諦める前に、募集要項や大学の公式サイトで返還条件を確認しましょう。
すでに入学金を支払っている場合でも、分からなければ大学の入試担当窓口へ問い合わせる方法があります。
第一志望に合格したあと、滑り止め大学への辞退手続きを後回しにすると、返還を受けられる期限を過ぎる可能性もあるため注意が必要です。
延納・分納・納付猶予制度を確認する
入学金の二重払いを避けるうえで、返還制度と同じくらい確認しておきたいのが延納・分納・納付猶予です。
特に第一志望の合格発表より滑り止め大学の納付期限が早い場合は、支払い期限を延ばせるかどうかが重要になります。
たとえば、滑り止めの入学金納付期限が2月中旬、第一志望の合格発表が3月上旬だったとします。
通常であれば、第一志望の結果が分からないまま滑り止めの入学金を払わなければなりません。
しかし、大学が納付猶予などに対応しており、第一志望の合格発表まで支払いを待ってもらえれば、第一志望に合格した時点で滑り止めを辞退できます。
「払ってから返してもらう」よりも、「第一志望の結果が出るまで払わずに待てる」方が、二重払いを避ける方法としては直接的です。
ただし、延納・分納・納付猶予は同じ制度ではありません。
- 延納:支払い期限を通常より後に延ばしてもらう
- 分納:必要な費用を一括ではなく複数回に分けて支払う
- 納付猶予:一定の条件で支払いを一定期間待ってもらう
さらに、大学によっては授業料の延納には対応していても、入学金そのものは期限までに支払わなければならない場合があります。
そのため、「延納制度あり」という言葉だけで判断せず、入学金も対象になっているかまで確認する必要があります。
また、制度を利用するために事前申請が必要な場合もあります。
合格通知が届いてから調べると申請期限まで時間がない可能性があるため、受験前に募集要項を確認しておくと安心です。
併願校を比較するときは、「第一志望の合格発表日」と「各大学の入学金納付期限」を紙や表に並べてみると、二重払いが発生しそうな大学を見つけやすくなります。
偏差値や受験日だけではなく、合格後のお金の流れまで含めて併願計画を立てることが、入学金で後悔しないための重要な対策です。
高等教育の修学支援新制度で入学金減免を受ける
返還や延納を利用できず、実際に進学する大学への入学金負担が大きい場合は、高等教育の修学支援新制度を利用できないか確認しましょう。
高等教育の修学支援新制度は、一定の要件を満たす学生を対象として、大学などへの進学費用を支援する国の制度です。
支援の柱となっているのは、授業料・入学金の減免と給付型奨学金です。
対象になれば授業料だけでなく、入学金についても国が定める上限額まで減額または免除を受けられる可能性があります。
また、2025年度からは多子世帯について、所得制限なく一定額まで大学等の授業料・入学金を無償化する支援が始まっています。
ただし、「子どもが3人以上いれば誰でも大学にかかるお金がすべて無料になる」という意味ではありません。
扶養する子どもの人数などの要件があり、大学や学校が制度の対象になっていることなども確認する必要があります。
さらに、減免される金額には上限があります。
大学が設定する入学金や授業料の全額が必ず免除されるとは限らないため注意しましょう。
ここでもう一つ注意したいのが、修学支援新制度は、進学しなかった滑り止め大学へ支払った入学金を補填するための制度ではないという点です。
「滑り止めに払った25万円を国に返してもらう」といった使い方はできません。
あくまで実際に進学する大学で必要になる入学金や授業料の負担を軽減する制度として考えましょう。
入学金だけでなく大学進学に必要なお金全体の準備が厳しい場合は、大学進学のお金が足りない場合に利用できる奨学金や授業料減免などの対策も確認してみてください。
そのため、入学金の二重払い対策としては、まず返還・延納などを確認し、そのうえで進学先の費用について修学支援新制度を検討するのが分かりやすい順番です。
給付型奨学金や国の教育ローンを利用する
「入学金を払う必要があるのは分かったけれど、納付期限までに現金を用意できない」という家庭もあるでしょう。
大学進学では、短い期間にまとまったお金が必要になることがあります。
そのような場合に検討できるのが、給付型奨学金や国の教育ローンです。
給付型奨学金は、原則として返済する必要がない奨学金です。
代表的なものとして、日本学生支援機構の給付奨学金があり、高等教育の修学支援新制度とあわせて学生生活の負担軽減につながります。
ただし、ここには大切な注意点があります。
給付型奨学金は、滑り止め大学の入学金納付期限に必要な現金を、その場ですぐに用意するための制度ではありません。
予約採用で採用候補者になっていても、進学前に奨学金が振り込まれるわけではないためです。
奨学金を利用する予定でも、入学金の支払いに間に合うとは限りません。
奨学金が学費の納付期限に間に合わない場合の対処法も事前に確認しておくと安心です。
そのため、「来月までに入学金を払わなければ進学資格を失う」という状況では、別の資金確保も考える必要があります。
そこで選択肢になるのが、日本政策金融公庫の「国の教育ローン」です。
国の教育ローンは、大学などへの入学・在学に必要な費用を対象とした融資制度です。
入学金や授業料だけでなく、受験費用や住居費など、進学に伴うさまざまな費用に利用できる場合があります。
ただし、教育ローンは奨学金とは違い借金です。
利用すれば返済が必要になるため、「借りられるから借りる」のではなく、卒業までに必要な教育費と返済額を確認したうえで判断しましょう。
「入学金が払えない」と感じたときは、いきなり教育ローンを利用するのではなく、返還・延納・入学金減免など、返済が必要ない方法から順番に確認することが大切です。
具体的には、次の順番で確認すると整理しやすくなります。
- ① 入学辞退時に返還される大学か確認する
- ② 延納・分納・納付猶予を利用できないか確認する
- ③ 高等教育の修学支援新制度の対象になるか確認する
- ④ 給付型奨学金など返済不要の支援を確認する
- ⑤ それでも資金が不足する場合に教育ローンを検討する
入学金の二重払いを完全に防げない場合でも、制度を一つずつ確認すれば負担を抑えられる可能性があります。
「滑り止めだから20~30万円を払って終わり」と考えず、支払う前に大学の返還・延納制度と利用できる公的支援を確認しておきましょう。
私立大学の入学金で後悔した家庭の体験談
私立大学の入学金について、「仕組みは分かったけれど、実際にはどんなことで後悔するの?」と気になる方もいるでしょう。
特に入学金で後悔しやすいのは、第一志望と滑り止めの合格発表日・納付期限がずれているケースです。
進学先を確保するために支払ったものの、数日後に第一志望へ合格して「もう少し待てれば払わなくて済んだのに」と感じることがあります。
また、併願の組み方によっては1校だけでなく、複数の大学へ入学金を支払う可能性もあります。
入学金で後悔しないためには、「どこを受験するか」だけでなく、「合格したらいつまでに、いくら払うのか」まで受験前に確認しておくことが重要です。
ここでは、私立大学を併願する家庭で起こり得るケースをもとに、どのような場面で入学金への後悔が生まれやすいのか紹介します。
滑り止めに払った直後に第一志望へ合格したケース
まず考えられるのが、滑り止めの私立大学に入学金を払った直後、第一志望に合格するケースです。
第一志望の結果が分からない段階では、「もし不合格だったら進学先がなくなってしまう」という不安があります。
そのため、滑り止めの大学に進学する可能性が低くても、入学資格を残すために入学金を支払う判断をする家庭があります。
ところが、その数日後や数週間後に第一志望から合格通知が届くことがあります。
第一志望への合格自体は喜ばしいことですが、保護者にとっては複雑です。
「合格はうれしいけれど、この前払った20~30万円はもう戻ってこないのか……」という気持ちになることもあるでしょう。
特に後悔しやすいのが、納付期限と第一志望の合格発表日の差がわずかな場合です。
「あと数日だけ待ってもらえれば払わなくて済んだ」と分かれば、余計にもったいなく感じます。
しかし、支払い時点では第一志望に合格する保証はありません。
もし滑り止めの入学金を払わず、第一志望にも不合格だった場合には、進学先を失う可能性があります。
そのため、後から振り返れば無駄な支払いに見えても、支払った時点では進学先を確保するために必要な判断だったとも考えられます。
このケースで確認しておきたいのは、滑り止め大学に延納・納付猶予や入学辞退時の返還制度がなかったかという点です。
合格後に初めて調べるのではなく、受験前から確認しておけば、第一志望の結果が出るまで支払いを待てる大学を滑り止めとして選べる可能性があります。
複数の大学に入学金を支払ったケース
入学金の負担がさらに大きくなるのが、複数の私立大学へ支払うケースです。
たとえば、安全校に合格して入学金を支払ったあと、より志望順位の高い私立大学にも合格したとします。
安全校を辞退して次の大学へ入学金を払い、さらに最後に第一志望へ合格すれば、進学先を確保する過程で複数回の支払いが発生する可能性があります。
仮に1校の入学金を25万円として、2校へ支払えば50万円、3校なら75万円です。
最終的に通う大学が1校だけなら、保護者としては「どうしてここまで払わなければならなかったのだろう」と感じるでしょう。
特に苦しいのは、第一志望への入学費用も別に用意しなければならないことです。
滑り止めに50万円を支払ったからといって、第一志望の入学金や授業料が安くなるわけではありません。
大学進学の時期には、教科書やパソコン、通学費、一人暮らしなら引っ越し費用なども必要になります。
そのため、進学しない大学へ支払った数十万円が、家計に大きく響くことがあります。
このケースで注意したいのは、受験料だけを見て併願費用を計算しないことです。
受験校が増えるときは、合格した場合の入学金まで含めて考える必要があります。
「A大学に合格したらいつまでに払う」「その時点でB大学の結果は出ているか」と時系列で整理すると、二重払いが起こりそうな組み合わせを事前に把握できます。
併願校を減らすことだけが対策ではなく、納付期限の組み合わせまで考えて受験校を選ぶことが重要です。
入学辞退しても入学金が返還されなかったケース
「大学へ行かないと伝えれば、少しくらい返してもらえるのでは?」と考えていたものの、実際には入学金が返還されず後悔するケースも考えられます。
保護者からすれば、子どもは授業を受けておらず、大学の施設も利用していません。
そのため、大学へ入学辞退の連絡をした際に「入学金は返還できません」と言われれば、納得しにくいでしょう。
「授業を受けていないのに、何のための20万円だったの?」という疑問が残ります。
しかし、入学金は授業料とは異なり、大学へ入学できる地位を得るための対価という性質があります。
そのため、入学を辞退したという理由だけでは、原則として大学側に入学金の返還義務が生じるわけではありません。
ここで注意したいのが、入学金と授業料などをまとめて納付しているケースです。
入学金が返還されなくても、所定の期限までに辞退すれば、先に支払った授業料などは返還対象になる場合があります。
「入学金が返ってこないなら全部同じだろう」と考えて手続きを放置すると、本来返還される可能性があった費用まで受け取れなくなるおそれがあります。
第一志望への進学が決まったら、滑り止め大学の募集要項を確認し、速やかに入学辞退の手続きを行いましょう。
また、近年は入学辞退者への入学金返還に対応する大学も出てきています。
「入学金は絶対に返ってこない」と決めつけるのではなく、自分が受験した大学に返還制度がないか確認することが大切です。
入学金の負担から併願校を絞ったケース
入学金問題で見落としたくないのが、実際に支払った家庭だけでなく、支払いへの不安から受験する大学を減らす家庭も考えられることです。
たとえば、第一志望のほかに私立大学を3校受験したいと考えていたとします。
しかし、それぞれの入学金が20~30万円程度で、合格発表と納付期限もずれていると分かれば、「全部に合格したらいくら必要になるのだろう」と不安になるでしょう。
受験料だけなら準備できても、短期間に数十万円単位の入学金を複数回支払うのは難しい家庭もあります。
その結果、本来なら受験したかった大学を候補から外し、安全校と第一志望だけに絞る判断につながる可能性があります。
入学金の問題が深刻なのは、「払ったお金がもったいない」というだけでなく、支払える金額によって受験の選択肢まで変わる可能性があることです。
子どもから「この大学も受けたい」と言われても、親として「合格したあとの入学金まで考えると難しい」と伝えなければならないこともあるでしょう。
そうなれば、「もっとお金を準備しておけばよかった」と自分を責めてしまう保護者もいるかもしれません。
しかし、受験校を減らす前に確認できることがあります。
- 第一志望の合格発表まで納付を待ってくれる大学はないか
- 入学辞退時に入学金を返還してくれる大学はないか
- 入学金の分納や納付猶予を利用できないか
- 各大学の納付期限が重ならないように併願を組めないか
同じくらい進学したい大学であれば、こうした入学金の条件まで比較することで、受験の選択肢を残せる場合があります。
「お金がないから受験校を減らす」と決める前に、大学ごとの納付条件を確認することが重要です。
入学金の後悔を減らすためには、合格後の支払いを「そのとき考えればいい」と後回しにしないことがポイントです。
受験日・合格発表日・入学金・納付期限・返還や延納の有無まで一つの表にしておけば、家計への負担を考えながら無理のない併願計画を立てやすくなります。
私立大学の入学金に関するよくある質問
私立大学の入学金は、大学によって金額だけでなく、返還や延納などの扱いも異なります。
ここでは、滑り止めの入学金や二重払いについて、保護者が疑問に感じやすいポイントをまとめます。
入学辞退したら入学金は返金されますか?
原則として、入学を辞退しても入学金は返金されないケースが一般的です。
入学金には、授業を受けるためのお金ではなく「大学に入学できる地位を得るための対価」という性質があるためです。
そのため、滑り止めの私立大学に入学金を払ったあとで第一志望に合格し、一度も通わずに辞退した場合でも返金されないことがあります。
ただし、入学辞退者に入学金の全部または一部を返還する大学も出てきています。
また、入学金とは別に納めた授業料などについては、所定の期限までに辞退すれば返還される場合があります。
「入学を辞退するから全部返ってくる」「入学金が返ってこないから全部返ってこない」のどちらとも限りません。
第一志望への進学が決まったら、滑り止め大学の募集要項で返還対象となる費用と辞退期限を確認しましょう。
入学金の二重払いを避ける方法はありますか?
完全に避けられるとは限りませんが、受験校の選び方によって二重払いの可能性を下げることはできます。
まず確認したいのが、第一志望の合格発表日と滑り止め大学の入学金納付期限です。
第一志望の結果が出るまで納付を待ってもらえる大学であれば、滑り止めに入学金を払ってから第一志望にも支払うという二重払いを避けられる可能性があります。
また、入学辞退時に入学金を返還する大学を滑り止めとして選ぶ方法もあります。
受験校を決める段階で「合格発表日・入学金・納付期限・延納の有無・返還の有無」を並べて比較するのがおすすめです。
偏差値や受験日だけで併願校を決めるのではなく、合格後のお金の流れまで確認することで、不要な支払いを減らしやすくなります。
入学金を返金してくれる大学はありますか?
あります。
私立大学では入学金を返還しないケースが一般的ですが、近年は入学辞退者への返還制度を設ける大学も出てきています。
ただし、返還制度がある大学でも、すべての受験生が対象になるとは限りません。
- 対象となる入試方式
- 入学辞退を申し出る期限
- 全額返還か一部返還か
- 返還を受けるための申請方法
などの条件が設定されている場合があります。
「入学金はどの大学でも返ってこない」と決めつけず、自分が受験する大学・入試方式の募集要項を確認することが大切です。
公式サイトを見ても分からない場合は、大学の入試担当窓口へ問い合わせて確認しましょう。
入学金を払えない場合はどうすればいいですか?
入学金を期限までに用意するのが難しい場合は、何もせずに納付期限を過ぎる前に、まず大学へ相談しましょう。
大学によっては、延納・分納・納付猶予などを利用できる場合があります。
また、条件を満たせば高等教育の修学支援新制度によって、入学金や授業料の減免を受けられる可能性があります。
返済不要の給付型奨学金もありますが、進学前の入学金納付期限までに現金を受け取れるとは限らない点には注意が必要です。
それでも入学時の資金が不足する場合には、国の教育ローンなども選択肢になります。
「払えないから進学を諦める」と判断する前に、大学への相談→入学金減免→返済不要の支援→教育ローンの順に利用できる方法を確認してみましょう。
特に納付期限を過ぎると入学資格を失う可能性があるため、資金が足りないと分かった時点で早めに相談することが重要です。
第一志望の合格発表まで支払いを待ってもらえますか?
大学によっては、延納や納付猶予によって支払いを待ってもらえる場合があります。
ただし、すべての私立大学が第一志望の合格発表まで待ってくれるわけではありません。
また、「授業料は延納できるが入学金は対象外」といったケースもあるため、制度の名称だけで判断しないことが大切です。
確認したいのは、入学金そのものの納付期限を延ばせるかという点です。
第一志望の合格発表まで入学金の支払いを待ってもらえれば、滑り止めに数十万円を払ってから第一志望にも支払う「二重払い」を避けられる可能性があります。
これから併願校を選ぶ場合は、第一志望の合格発表日と各大学の入学金納付期限を比較しておきましょう。
すでに滑り止めに合格している場合は、募集要項や入学手続案内を確認し、分からなければ納付期限を迎える前に大学へ問い合わせることをおすすめします。
まとめ
私立大学の入学金に対して「おかしい」と感じる大きな理由は、実際には進学しない大学でも20~30万円程度の入学金を支払い、原則として返ってこないケースがあることです。
特に第一志望の合格発表より滑り止め大学の納付期限が早いと、進学先を確保するために入学金を払わざるを得ないことがあります。
その後に第一志望へ合格すれば、滑り止めと進学先の両方へお金を払う「入学金の二重払い」が発生する可能性があります。
一方で、入学金は法律上、授業を受けるためのお金ではなく「大学に入学できる地位を得るための対価」という性質があると考えられているため、入学辞退だけを理由に当然に返還されるわけではありません。
ただし、近年は入学金を返還したり、延納・分納・納付猶予に対応したりする大学も出てきています。
この記事の重要なポイントをまとめると、次のとおりです。
- 私立大学の入学金は、入学辞退しても原則として返還されない
- 第一志望の合格発表前に納付期限が来ると、入学金の二重払いが起こりやすい
- 大学によっては入学金の返還・延納・分納・納付猶予を利用できる
- 高等教育の修学支援新制度では、対象者が入学金の減免を受けられる場合がある
- 入学金を用意できない場合は、大学への相談や公的支援を確認してから教育ローンを検討する
- 受験前に「合格発表日・納付期限・返還・延納」を比較すると二重払いを減らしやすい
「滑り止めの入学金だから仕方ない」と支払う前に、大学ごとの返還制度や納付期限を確認することが大切です。
これから受験校を決める場合は、偏差値や受験日だけでなく、合格後に「いつ・いくら支払うのか」まで比較して併願校を選ぶことで、家計への負担を抑えながら子どもの進路の選択肢を残しやすくなります。