「大学費用って、親がどこまで出すのが普通なの?」
「学費は出してあげたいけれど、一人暮らしの生活費まで負担すると正直きつい……」
「奨学金やアルバイトを子どもに負担してもらうのは、かわいそうなのかな?」
大学進学が近づくと、大学費用を親がどこまで負担するべきか悩む家庭は少なくありません。
入学金や授業料だけなら何とかできても、教材費や通学費、一人暮らしなら家賃や仕送りまで必要になります。
さらに、兄弟姉妹の教育費や親自身の老後資金まで考えると、「大学費用を全部親が出して本当に大丈夫?」と不安になる方もいるでしょう。
一方、高校生や大学生側も「周りは親が学費を出してくれているのに、うちは奨学金を借りるしかない?」「大学の学費を自分で払うのは珍しいこと?」と気になるかもしれません。
大学費用は、「親が100%負担するか、子どもが負担するか」の二択ではありません。
学費は親、生活費の一部は本人、足りない分は奨学金など、家庭の状況に合わせて負担を分ける方法もあります。
この記事では、次の内容について分かりやすく解説します。
- 大学費用を親が負担している割合
- 親が全額負担する家庭はどのくらいあるのか
- 学費・生活費・仕送りのどこまで親が出すのか
- 親子で大学費用を分担するときの考え方
- 大学費用を全額出せないときに利用できる制度や対処法
「他の家庭がどのくらい出しているのか」を確認したうえで、自分の家庭ではどこまで負担するのが無理のない選択なのかを考えていきましょう。
大学費用を親が出す割合はどのくらい?
「大学費用は親が出すのが普通」と思っていても、実際にどのくらい負担しているのか気になる方は多いでしょう。
特に、大学進学を控えて具体的な金額が見えてくると、「本当に全額出せるのか」「奨学金を借りてもらう家庭は少ないのか」と不安になりやすいものです。
結論からいうと、大学費用は親からの支援が中心となっているものの、すべての費用を親だけで負担しているとは限りません。
ここで注意したいのが、「大学費用全体に占める家庭からの給付」と「大学へ納める学費を誰が払っているか」は別のデータだという点です。
この2つを分けて見ると、「親がどこまで出すのが普通なのか」が分かりやすくなります。
大学費用の約6割は家庭からの給付
日本学生支援機構(JASSO)の「令和4年度学生生活調査」によると、大学学部昼間部の年間学生生活費は平均182万4,700円でした。
そのうち、家庭からの給付額は平均109万6,900円で、年間学生生活費に対する割合は60.1%となっています。
つまり、大学生にかかる学費と生活費を合わせた金額の約6割を、家庭からの給付でまかなっていることになります。
「親が全部出してあげないといけないのでは」と考えていた方にとっては、少し意外な数字かもしれません。
ただし、この「60.1%」の意味には注意が必要です。
「6割の家庭が親に大学費用を出してもらっている」「一般家庭では親6割・子ども4割で分担している」という意味ではありません。
あくまで大学生の年間学生生活費に対して、家庭からの給付額が平均でどの程度を占めているかを示した数字です。
たとえば、親が学費も生活費も負担する家庭もあれば、学費は親が負担して生活費の一部を本人のアルバイトでまかなう家庭もあります。
さらに、奨学金を利用して不足分を補っている学生もいます。
そのため、「うちも6割だけ出せばいい」と考えるのではなく、大学費用全体では親以外のお金も使われている家庭があると捉えるのが適切です。
また、同じ調査では国立・公立・私立によって家庭からの給付割合にも違いがあります。
- 国立大学:59.2%
- 公立大学:53.7%
- 私立大学:60.6%
大学の種類が違っても、家庭からの給付が学生生活を支える大きな柱になっていることが分かります。
一方で、ここだけを見ると「残りの約4割はすべて子どもが払っているの?」という疑問も出てくるでしょう。
そうとは限りません。
大学生活に必要なお金には、家庭からの給付以外にも奨学金やアルバイト収入などが使われています。
つまり、大学費用は「親が全額払うか、子どもが全額払うか」ではなく、複数の資金を組み合わせて成り立っていると考える方が実態に近いでしょう。
大学の学費を「保護者・親族のみ」が払う割合は約8割
ここまでの約6割という数字を見て、「思っていたより親の負担は少ない」と感じた方もいるかもしれません。
しかし、授業料などの大学納付金だけに絞って見ると状況は大きく変わります。
全国大学生活協同組合連合会が実施した「第56回学生生活実態調査」では、授業料などの大学納付金について、「保護者・親族のみ」が支払っている割合は76.0%でした。
およそ4人に3人が、大学へ直接納める学費については保護者や親族だけで負担していたことになります。
また、「保護者・親族」が支払者に含まれる回答全体では82.4%となっています。
一方、「自分」が支払者に含まれている割合は11.4%で、奨学金やアルバイト収入などを使って学生本人が大学納付金の一部または全部を負担しているケースもあります。
ここで先ほどの「約6割」と「約8割」の違いが重要になります。
- 約6割:学費+生活費を含む学生生活費に対して家庭から給付された金額の割合
- 約8割:大学納付金の支払者に保護者・親族が含まれている割合
大学費用全体では親以外のお金も使われていますが、授業料などの学費そのものは親が中心となって支払っている家庭が多いと考えると分かりやすいでしょう。
この違いは、「大学費用を親がどこまで出すべき?」と悩んでいる家庭にとって重要な判断材料になります。
たとえば、大学費用をすべて親が負担するのは厳しくても、「学費は親が負担し、生活費の一部は本人に負担してもらう」という分け方が考えられます。
一人暮らしであれば、「授業料は親、仕送りは無理のない金額まで、足りない生活費はアルバイト」という分担も選択肢になります。
「親が何割出すか」だけを決めるより、「学費・家賃・食費・教材費などのうち、何を親が負担するのか」を決める方が、実際の家計には落とし込みやすいでしょう。
親が全額出すのが当たり前とは限らない
「周りの家庭は親が学費を出しているなら、うちも全額出さなければいけないのでは」と感じる方もいるでしょう。
特に子どもの希望する大学へ行かせてあげたい気持ちが強いほど、親自身が無理をしてでも費用を用意しようと考えてしまいがちです。
しかし、ここまでのデータから分かるのは、「親からの支援が中心」と「親が大学生活に必要なお金をすべて出す」は同じではないということです。
授業料などは保護者・親族が負担している家庭が多い一方で、大学生活全体では奨学金やアルバイトなども利用されています。
そのため、親が大学費用を100%負担できないからといって、それだけで「親として十分に支援できていない」と考える必要はありません。
大切なのは、他の家庭と同じ割合に合わせることではなく、自分たちの家計で4年間継続できる負担方法を考えることです。
たとえば、次のような分担が考えられます。
- 入学金と授業料は親が負担する
- 学費は親が負担し、生活費の一部は本人がアルバイトで補う
- 親が一定額まで負担し、不足分には奨学金を利用する
- 自宅から通える大学を選び、一人暮らしの費用を抑える
特に注意したいのは、子どもの大学費用を優先するあまり、親自身の貯蓄や老後資金まで大きく取り崩してしまうケースです。
大学費用は基本的に4年間続くため、1年目だけ支払えるかではなく、卒業まで継続できるかを考える必要があります。
また、兄弟姉妹がいる家庭なら、一人目に出せる金額だけで判断すると、二人目以降の進学時に家計が苦しくなる可能性もあります。
「みんなが何割出しているか」は参考にしつつ、「わが家は何に、いくらまで出せるのか」まで考えることが重要です。
大学費用の平均的な負担割合は、親子で話し合うためのスタート地点にすぎません。
「全額出すのは難しい」と分かった場合も、親が負担する費用と本人が負担する費用を分けたり、奨学金などを組み合わせたりすることで、無理のない形を検討できます。
大学費用は親がどこまで出すのが普通?
大学費用について考えるとき、「親が何割出すか」と同じくらい悩みやすいのが、「どの費用まで親が出すのか」という問題です。
大学進学では、入学金や授業料だけでなく、教材費や通学費、一人暮らしなら家賃や食費なども必要になります。
さらに、スマートフォン代や交際費、サークル活動などまで含めると、大学生活にかかるお金の範囲はかなり広くなります。
すべて親が出してあげたいと思っていても、4年間続けるとなれば家計への負担は小さくありません。
大学費用は「何割負担するか」だけでなく、「どの費用を親が負担し、どの費用を本人に任せるか」に分けて考えることが大切です。
特に、学費と生活費を同じように考えず、必要性の高い費用から親の負担範囲を決めていくと整理しやすくなります。
入学金・授業料は親が中心に負担する家庭が多い
大学費用の中でも、親が中心となって負担する家庭が多いのが入学金や授業料などの大学納付金です。
前述した全国大学生活協同組合連合会の調査でも、大学納付金を「保護者・親族のみ」が支払った割合は76.0%となっています。
そのため、「入学金や授業料は親が負担する」という考え方は、実際の家庭でも多く見られる負担方法といえます。
ただし、親が学費を中心に負担している家庭が多いからといって、必ず全額を親だけで用意しなければならないわけではありません。
私立大学や理系学部などでは学費が高くなり、兄弟姉妹の進学時期が重なれば、親だけで全額を負担するのが難しい家庭もあります。
その場合は、給付型奨学金や授業料減免を利用したり、不足分だけ貸与型奨学金を利用したりする方法もあります。
ここで大切なのは、「親が払うのが普通だから」という理由だけで、家計的に無理な金額まで負担しないことです。
たとえば、入学時に「4年間の授業料は親が負担する」と決めるなら、1年目の学費だけでなく卒業までに必要な総額を確認しておく必要があります。
兄弟姉妹がいる場合は、下の子の大学進学まで含めて負担できるかを考えることも重要です。
入学金・授業料を優先して親が支援し、それ以外の費用について親子で分担する方法なら、家計の見通しも立てやすくなります。
教材費・通学費は家庭によって分かれる
入学金や授業料ほど金額は大きくありませんが、意外と見落としやすいのが教材費や通学費です。
教科書や参考書、パソコン、実習用品など、大学や学部によって必要になるものは異なります。
また、自宅から大学へ通う場合には、電車やバスの定期代も4年間継続して必要になります。
こうした費用は、「学業に必要なお金だから親が出す」という家庭もあれば、「一部は本人に負担してもらう」という家庭もあります。
どちらが正しいというものではありません。
ただし、教材費や通学費は大学へ通うために必要性の高い支出なので、最初からすべて本人負担とするとアルバイトの負担が大きくなる可能性があります。
たとえば、次のように分ける方法があります。
- 大学指定の教科書や教材は親が負担する
- 通学定期代は親が負担する
- 追加で購入する参考書などは本人が負担する
- 学業以外の移動費は本人が負担する
「教材費は子ども」「交通費は親」のように割合で分けるより、費目ごとに負担する人を決めておくと、お互いに分かりやすくなります。
また、大学入学時にはパソコンなどまとまった出費が発生する場合もあるため、授業料以外に必要となる費用も事前に確認しておきましょう。
一人暮らしの家賃・生活費は親子で分担する方法もある
大学費用の負担を大きく左右するのが、一人暮らしをするかどうかです。
自宅外から通学する場合は、大学へ支払う学費とは別に、家賃や食費、光熱費などが毎月必要になります。
そのため、「学費までは出せるけれど、生活費まですべて負担するのは難しい」と悩む家庭もあるでしょう。
この場合、親が毎月一定額を仕送りし、不足する生活費を本人がアルバイトなどで補うという分担方法があります。
たとえば、親が家賃と一定額の生活費を負担し、食費の一部や日用品などを本人が負担するといった方法です。
反対に、「家賃は親が出すが、それ以外の生活費は本人」「学費は親が負担するので、生活費は奨学金とアルバイトで補う」といった分け方も考えられます。
重要なのは、「毎月足りなくなったら親が追加で送る」という曖昧な状態にしないことです。
仕送りの上限を決めないまま大学生活が始まると、想定以上に親の負担が膨らむ可能性があります。
進学前に、家賃・食費・水道光熱費・通信費・日用品費などを一度書き出してみるとよいでしょう。
そのうえで、親が毎月いくらまで負担できるのかを決め、不足する金額をどう補うのかを親子で話し合います。
一人暮らしでは「学費を払えるか」だけでなく、「4年間の生活費まで含めて続けられるか」を確認することが重要です。
どうしても負担が大きい場合は、自宅から通える大学を選ぶことも大学費用を抑える現実的な方法の一つです。
娯楽費や交際費は本人が負担する方法もある
大学生活では、授業に必要なお金以外にもさまざまな支出があります。
友人との食事や旅行、趣味、洋服、サークル活動など、本人の判断で使うお金も増えていきます。
こうした費用まで親がすべて負担する必要があるのか、迷う方もいるでしょう。
大学生活に直接必要な学費や教材費とは異なり、娯楽費や交際費については、本人のアルバイト代やお小遣いから負担するというルールを決める方法があります。
たとえば、次のように「大学へ通うためのお金」と「本人が自由に使うお金」を分けると判断しやすくなります。
- 授業料・入学金:親が負担
- 教材費・通学費:親が中心に負担
- 家賃・基本的な生活費:親子で分担
- 娯楽費・交際費:本人が負担
このように費目ごとにルールを決めれば、「親が大学費用の何割を出すべきか」という曖昧な問題を、具体的な家計の話に変えられます。
また、本人が自由に使うお金の一部を負担することは、自分で収入と支出を管理する経験にもなります。
ただし、親の負担を減らすためにアルバイトを増やしすぎるのは注意が必要です。
アルバイトの時間が増えて授業や試験勉強に影響してしまえば、本来の目的である大学での学業に支障が出る可能性があります。
子どもにも負担してもらう場合は、「学業に影響しない範囲」を前提にすることが大切です。
親がすべて出すか、本人にすべて任せるかという二択にする必要はありません。
学費などの必要性が高い支出は親が優先して支え、生活費は状況に応じて分担し、自由に使うお金は本人が負担するというように線引きすると、無理のない負担方法を考えやすくなります。
大学費用はいくらかかる?親の負担が変わるポイント
大学費用を親がどこまで出すか考えるには、まず進学先によって実際にいくら必要になるのかを把握しておくことが大切です。
同じ4年間の大学生活でも、国公立か私立か、自宅から通うか一人暮らしをするかによって、必要な金額は大きく変わります。
さらに兄弟姉妹がいる家庭では、一人分だけなら全額負担できても、進学時期が重なることで家計が一気に苦しくなることもあります。
「大学費用の何割を親が出すか」を決める前に、自分の家庭では4年間でいくら必要になるのかを確認しておきましょう。
国公立と私立で学費は大きく違う
大学費用の中でも大きな割合を占めるのが、入学金や授業料などの学費です。
特に国公立大学と私立大学では金額に差があるため、進学先によって親が負担する金額も大きく変わります。
文部科学省によると、国立大学の標準額は入学料28万2,000円、授業料は年間53万5,800円です。
標準額で単純計算すると、4年間の入学料と授業料は約243万円になります。
公立大学については大学によって異なりますが、文部科学省の調査では2024年度の平均授業料は年53万6,340円、地域外から入学する場合の平均入学料は38万8,561円です。
一方、私立大学は学部や大学による差が大きくなります。
文部科学省の2025年度調査では、私立大学の初年度学生納付金等の平均額は150万7,647円です。
内訳を見ると、授業料だけでなく入学料や施設設備費なども必要になります。
「大学に行くなら400万円くらい用意すれば大丈夫」と一律に考えるのは危険です。
私立大学では学部による差も大きく、理系や医歯系などでは文系より高額になる傾向があります。
そのため、親が全額負担できるかどうかは「大学費用の平均」ではなく、子どもが希望している大学・学部の実際の納付額で判断する必要があります。
たとえば、国公立なら親が学費を全額負担できても、私立への進学では不足分に奨学金が必要になる家庭もあるでしょう。
これは「親が出す割合を下げた」というより、必要になる総額が変わった結果と考えた方が実態に合っています。
他の家庭の負担割合と比べる前に、「わが家が進学予定の大学では4年間でいくら必要なのか」を確認することが重要です。
自宅通学と一人暮らしでは負担が大きく変わる
大学費用を考えるとき、学費と同じくらい確認しておきたいのが自宅から通うのか、一人暮らしをするのかという違いです。
一人暮らしでは、大学へ支払うお金とは別に家賃や食費、水道光熱費などが毎月必要になります。
さらに、一人暮らしを始める際には敷金・礼金や引っ越し代、家具・家電の購入費など、入学時にまとまったお金が必要になる場合もあります。
そのため、学費だけを見て「これなら全額出せる」と判断すると、入学後に想定以上の負担になる可能性があります。
日本学生支援機構の学生生活調査でも、自宅から通う学生より、アパートなどから通う学生の方が年間学生生活費は高くなっています。
大学費用を考えるときは、「どの大学へ行くか」だけでなく「どこから通うか」までセットで考える必要があります。
たとえば、自宅通学であれば親が学費と通学費を負担し、本人は娯楽費などをアルバイトで負担する形も考えられます。
一方、一人暮らしでは学費に加えて生活費まで親がすべて負担すると、家計への負担が大きくなります。
その場合は、次のように分担する方法があります。
- 学費と家賃は親が負担する
- 親からの仕送り額に上限を決める
- 食費や日用品の一部は本人が負担する
- 不足する部分に奨学金を利用する
ここで注意したいのは、一人暮らしの生活費をすべてアルバイトでまかなう前提にしないことです。
アルバイトの時間が増えすぎれば、授業や試験勉強に影響する可能性があります。
一人暮らしを予定している場合は、大学の学費とは別に毎月必要になる生活費を計算し、親からの仕送り・本人の収入・奨学金をどう組み合わせるのか決めておくと安心です。
もし一人暮らしまで含めると負担が大きすぎる場合には、自宅から通える大学を候補に加えることも現実的な選択肢になります。
兄弟姉妹がいる家庭は全体の教育費で考える
大学費用を親が出す割合を決めるとき、兄弟姉妹がいる家庭では特に注意が必要です。
一人目の大学進学だけを見れば全額負担できそうでも、数年後に二人目、三人目の進学が続く可能性があります。
特に年齢が近い兄弟姉妹の場合は、複数人の大学在学期間が重なることもあります。
たとえば、一人目の大学費用に貯蓄を多く使ってしまうと、二人目の進学時には同じだけ支援できなくなることも考えられます。
「お兄ちゃんには全部出したのに、私は奨学金なの?」という状況になれば、子ども側が不公平に感じる可能性もあります。
兄弟姉妹がいる場合は、「今の子にいくら出せるか」ではなく、「全員の進学を考えたときに一人あたりどこまで支援できるか」で考えることが大切です。
たとえば、家庭内で次のような基本ルールを決めておく方法があります。
- 入学金・授業料までは親が負担する
- 一人暮らしの生活費には毎月の上限を設定する
- 一定額を超える学費は奨学金なども検討する
- 娯楽費や交際費は本人が負担する
必ずしも兄弟姉妹にまったく同じ金額を出す必要はありません。
国公立と私立、自宅通学と一人暮らしでは必要になる金額そのものが違うためです。
大切なのは、「同額にすること」よりも「どこまで親が支援するのかというルールをできるだけ公平にすること」です。
また、2025年度からは、多子世帯について所得制限なく大学等の授業料・入学金を一定額まで減免する制度が始まっています。
ただし、「子どもが2人以上いれば必ず対象になる」という単純な制度ではなく、扶養する子どもの人数などの要件があります。
兄弟姉妹がいる家庭では、こうした公的支援の対象になるかも確認しておきましょう。
一人目に無理をして全額を出し、二人目以降の進学費用や親自身の老後資金が不足してしまっては、家族全体として安心できる負担方法とはいえません。
大学費用は「親なら何割出すべき」という基準だけで決めず、進学先・通学方法・兄弟姉妹の人数まで含めて、卒業まで続けられる金額を考えることが重要です。
大学費用は親と子どもでどう分担する?
大学費用を親が全額出すのが難しい場合、「子どもにも負担してもらっていいのだろうか」と悩む方もいるでしょう。
反対に学生側からすれば、「どこまで親に頼っていいのか」「奨学金を借りるのは普通なのか」と不安になることもあります。
大学費用の分担には、すべての家庭に当てはまる正解があるわけではありません。
家計に余裕があれば親が学費も生活費も負担できますが、学費だけを親が負担したり、不足分に奨学金を利用したりする家庭もあります。
大切なのは「親が何割、子どもが何割」と最初から割合を決めるのではなく、親が無理なく負担できる金額を確認してから不足分をどう補うか考えることです。
ここでは、大学費用を分担するときに考えられる代表的なケースを見ていきましょう。
学費も生活費も親が負担するケース
家計に十分な余裕がある場合は、入学金や授業料だけでなく、生活費まで親が負担する方法があります。
特に自宅通学であれば、一人暮らしの家賃や仕送りが必要ないため、親が大学費用の大部分を負担しやすくなります。
親が学費や生活費を負担する大きなメリットは、子どもがアルバイトや奨学金に頼りすぎず、学業に集中しやすいことです。
奨学金を借りなければ、卒業後に返済を抱えず社会人生活をスタートできるメリットもあります。
一方で、親がすべて負担する場合には注意したいこともあります。
「子どものためだから」と考えて、貯蓄を大きく取り崩したり、老後資金まで大学費用に使ったりすることです。
親が全額出せることと、親が全額出しても家計に問題がないことは同じではありません。
大学費用は入学時だけではなく、基本的に卒業まで続きます。
さらに兄弟姉妹がいれば、その後も教育費が必要になる可能性があります。
そのため、全額負担を選ぶ場合でも、次の点を確認しておきましょう。
- 4年間の学費を支払っても十分な貯蓄が残るか
- 一人暮らしなら4年間の仕送りまで継続できるか
- 兄弟姉妹にも必要な教育費を用意できるか
- 親自身の老後資金を大きく減らさずに済むか
これらを確認したうえで余裕があるなら、親が学費も生活費も負担することは一つの選択肢です。
周囲が全額負担しているからではなく、「わが家なら卒業まで無理なく続けられる」という理由で選ぶことが大切です。
学費は親・生活費の一部は本人が負担するケース
大学費用を親子で分担するなら、分かりやすいのが学費を親が負担し、生活費の一部を本人が負担する方法です。
入学金や授業料はまとまった金額になるため親が中心に支え、比較的調整しやすい生活費などを本人が負担します。
たとえば、次のような分け方が考えられます。
- 入学金・授業料は親が負担する
- 通学費・教材費は親が負担する
- スマートフォン代や日用品は本人が負担する
- 娯楽費・交際費はアルバイト代から本人が負担する
一人暮らしの場合なら、親が家賃と一定額の仕送りを負担し、それを超える生活費を本人がアルバイトで補う方法もあります。
「大学費用の30%を子どもに負担してもらう」と決めるより、「学費は親、自由に使うお金は本人」のように費目で分ける方が分かりやすくなります。
本人にとっても、自分がどこまで負担すればよいのかが明確になります。
ただし、本人負担を増やしすぎないことも重要です。
実際に学生本人が学費を負担するケースもありますが、大学の学費を自分で払う学生が抱えやすい負担や、アルバイトとの両立も知ったうえで分担額を決めることが大切です。
大学生がアルバイトで得られる収入には限りがあり、学費までアルバイトだけで負担しようとすれば勤務時間を増やさなければならない可能性があります。
その結果、授業への出席や試験勉強に影響してしまっては本末転倒です。
本人に負担してもらう場合は、「アルバイト収入ありき」ではなく、学業に影響しない範囲で支払える金額を基準にしましょう。
親の負担+奨学金で進学するケース
親の収入や貯蓄だけでは大学費用をすべて用意できない場合、奨学金を組み合わせる方法もあります。
「奨学金を使わせるのはかわいそう」「できれば親が全部出してあげたい」と感じる方もいるかもしれません。
しかし、親が無理に全額を用意することで家計が立ち行かなくなるのであれば、利用できる制度を確認したうえで負担を分けることも現実的な選択です。
奨学金を検討するときは、まず返済する必要があるかどうかを確認しましょう。
代表的なものには、返済不要の給付型奨学金と、卒業後などに返済する貸与型奨学金があります。
利用条件を満たすのであれば、まず給付型奨学金や授業料・入学金の減免制度を確認し、それでも不足する場合に貸与型奨学金を検討するという順番が基本です。
貸与型奨学金を利用する場合は、単に「今いくら足りないか」だけで決めないようにしましょう。
借りた金額によっては、卒業後も長期間にわたって返済が続きます。
そのため、親子で次の点を確認しておくことが大切です。
- 4年間でいくら借りることになるのか
- 卒業後は誰が返済するのか
- 毎月の返済額はいくらになるのか
- 必要以上に借りていないか
たとえば、親が学費の大部分を負担し、不足する一部だけ奨学金を利用すれば、すべてを借りる場合より卒業後の返済負担を抑えられます。
一人暮らしの場合なら、「学費は親、生活費の一部に奨学金、娯楽費は本人」という分け方も考えられます。
奨学金は「親が払えないからとりあえず借りる」のではなく、親の負担と本人の将来負担を調整するための選択肢として考えることが重要です。
親が無理なく出せる金額から負担割合を決める
ここまでいくつかの分担方法を紹介しましたが、「結局、親は何割出せばいいの?」と迷う方もいるでしょう。
しかし、親が出す割合を決めるときに、平均的な割合をそのまま自分の家庭へ当てはめる必要はありません。
世帯収入や貯蓄、進学先、通学方法、兄弟姉妹の人数などによって、負担できる金額は大きく異なるからです。
負担割合を決めるなら、「親は何割出すべき?」ではなく、「卒業まで家計を崩さずにいくら出せる?」から考える方が現実的です。
具体的には、次の順番で整理すると分かりやすくなります。
1.大学4年間で必要になる費用を確認する
まずは、入学金や授業料だけでなく、教材費・通学費・一人暮らしの生活費なども含めて必要額を確認します。
大学の種類や学部、自宅通学か一人暮らしかによって総額は変わるため、平均ではなく進学予定の大学を基準に計算しましょう。
2.親が4年間で負担できる金額を決める
次に、現在の貯蓄や毎年の収入から大学費用へ回せる金額を確認します。
このとき、住宅費や生活費、兄弟姉妹の教育費、親自身の老後資金まで使い切る前提にしないことが重要です。
3.不足する金額を確認する
必要な大学費用から親が負担できる金額を引けば、どの程度不足するのかが見えてきます。
不足額が分かって初めて、本人のアルバイト、給付型奨学金、授業料減免、貸与型奨学金など、必要な対策を具体的に検討できます。
4.親子で負担する費用を決める
最後に、親と本人が何を負担するのかを決めます。
「親7割・子ども3割」のような割合だけではなく、「学費は親、生活費の一部は本人」と費目まで決めておくと、進学後の認識のズレを防ぎやすくなります。
大学費用で避けたいのは、「親だから全額出さなければ」と無理をした結果、途中で支払いを続けられなくなることです。
最初から無理のない金額を設定し、不足分には利用できる制度や本人負担を組み合わせた方が、4年間の見通しを立てやすくなります。
大学費用の負担割合は「世間の普通」に合わせるものではなく、親の家計と子どもの将来負担の両方が無理なく続けられる地点を探して決めることが大切です。
大学費用を親が全額出せないときの対処法
大学費用を計算してみて、「思っていた以上に高い」「この金額を4年間すべて親が出すのは厳しい」と感じる家庭もあるでしょう。
特に私立大学や一人暮らしでは、学費だけでなく家賃や生活費も必要になるため、親の収入や貯蓄だけでは足りないことがあります。
実際に大学の学費を払うことが難しい家庭は一定数あり、大学の学費を払えない家庭の割合や、経済的に厳しい場合に利用できる制度についても確認しておくと安心です。
だからといって、すぐに進学を諦めたり、親が無理をして全額を用意したりする必要はありません。
大学費用が足りないときは、まず返済不要の支援制度を確認し、それでも不足する部分について奨学金や教育ローン、本人負担などを組み合わせて考えることが大切です。
「親が出せる金額」と「大学生活に必要な金額」の差を把握したうえで、使える対策を順番に確認していきましょう。
すでに進学時期が迫っていて十分な大学費用を準備できていない場合は、親が学費を貯めていなかった場合に利用できる制度と今からできる対策も参考にしてください。
給付型奨学金を利用する
大学費用を親だけで負担するのが難しい場合、最初に確認したいのが返済不要の給付型奨学金です。
日本学生支援機構(JASSO)では、高等教育の修学支援新制度の一つとして給付型奨学金を実施しています。
貸与型奨学金とは異なり、原則として受け取った奨学金を卒業後に返済する必要がありません。
「大学費用が足りない=まず借りる」と考えるのではなく、最初に返済不要の支援を受けられないか確認することが重要です。
給付額は世帯の所得状況、国公立・私立、自宅通学・自宅外通学などによって異なります。
たとえば、住民税非課税世帯に該当する第1区分の大学生の場合、国公立大学では自宅通学で月額2万9,200円、自宅外通学で月額6万6,700円が基本額です。
私立大学の場合は、自宅通学で月額3万8,300円、自宅外通学で月額7万5,800円が基本額となっています。
4年間継続して支援を受けられれば家計への影響は大きいため、対象になる可能性がある家庭は確認しておきましょう。
ただし、給付型奨学金には家計や学業などの基準があり、採用後も一定の基準を満たしているか確認されます。
また、支援額は家庭によって異なるため、「年収が○万円なら必ず対象」と自己判断するのではなく、JASSOの進学資金シミュレーターなどで確認するのがおすすめです。
高校在学中であれば進学前に申し込む「予約採用」があり、大学へ進学した後にも「在学採用」で申し込める場合があります。
「うちは収入があるから対象外だろう」と最初から決めつけず、まず利用条件を確認してみましょう。
授業料・入学金の減免制度を確認する
給付型奨学金と合わせて確認したいのが、大学の授業料や入学金を減らせる制度です。
高等教育の修学支援新制度では、給付型奨学金だけでなく、対象となる大学等の授業料・入学金の免除または減額も行われています。
つまり、大学費用が足りない家庭にとっては、「必要なお金をどう用意するか」だけではなく、そもそも支払う学費を減らせる可能性があるということです。
大学費用に不安があるなら、「奨学金をいくら借りるか」を考える前に、授業料や入学金そのものを減らせないか確認しましょう。
また、2025年度からは多子世帯に対する授業料・入学金の支援が拡充されています。
多子世帯に該当すれば、所得制限なく一定額まで授業料・入学金の減免を受けられる可能性があります。
ただし、単純に「子どもが3人いる家庭なら全員対象」という意味ではありません。
対象になるかどうかは、扶養する子どもの人数など一定の要件に基づいて判定されます。
さらに、「大学無償化」という言葉から大学費用がすべてゼロになると誤解しないことも重要です。
支援には上限額があり、大学へ支払うすべての費用や一人暮らしの生活費まで無料になる制度ではありません。
また、大学独自の授業料減免制度や特待生制度などが設けられている場合もあります。
進学予定の大学が決まっているなら、大学の公式サイトや入試案内でも利用できる制度を確認しておきましょう。
貸与型奨学金や国の教育ローンで不足分を補う
給付型奨学金や授業料減免を利用しても大学費用が不足する場合は、返済が必要な制度を検討します。
代表的なのが、日本学生支援機構の貸与型奨学金です。
貸与型奨学金には無利子の第一種奨学金と、利子が付く第二種奨学金があります。
貸与型奨学金を利用すれば進学時の負担を軽くできますが、原則として卒業後などに学生本人が返済していくことになります。
そのため、借りられる金額ではなく、「本当に不足している金額」を基準に借入額を考えることが大切です。
たとえば4年間で100万円不足するのであれば、必要以上に300万円、400万円と借りる必要はありません。
親子で不足額を確認し、卒業後の返済額までシミュレーションしてから利用しましょう。
一方、親側で不足する大学費用を用意したい場合には、日本政策金融公庫の「国の教育ローン」も選択肢になります。
国の教育ローンは、原則として子ども1人につき350万円まで借りることができ、一定の要件に該当する場合は450万円まで利用できます。
日本学生支援機構の奨学金との併用も可能です。
ただし、教育ローンも返済が必要なお金であり、2026年7月時点の固定金利は年4.05%です。
貸与型奨学金と教育ローンには、主に誰が借りて返すのかという違いもあります。
- 貸与型奨学金:基本的に学生本人が借りて返済する
- 国の教育ローン:主に保護者が借りて返済する
「親が借りるのか、子どもが将来返すのか」は家族にとって大きな違いなので、単純に借りやすさだけで決めないようにしましょう。
給付型奨学金や授業料減免で支払額を減らし、それでも残る不足分だけ借りるという順番にすると、将来の返済負担を抑えやすくなります。
自宅通学やアルバイトで負担を抑える
大学費用が足りないときは、「どうやってお金を用意するか」だけでなく、必要になる費用そのものを減らす方法も考えてみましょう。
特に大きな差が出やすいのが、一人暮らしをするか自宅から通うかです。
一人暮らしでは、大学の学費とは別に家賃・食費・水道光熱費・通信費などが必要になります。
自宅から通える大学を選べれば、家賃や仕送りなどの負担を抑えられるため、4年間では大きな差になります。
志望校を学費だけで比較するのではなく、「学費+4年間の生活費」で比較すると、本当に家計負担の少ない進学先が見えやすくなります。
また、大学生本人がアルバイトで生活費の一部を負担する方法もあります。
たとえば、次のような費用であれば本人負担を検討しやすいでしょう。
- 娯楽費や交際費
- スマートフォン代
- 食費や日用品の一部
- 本人が自由に使うお金
親が学費や最低限の生活費を支え、それ以外を本人がアルバイトで負担する形なら、親の負担を抑えながら奨学金の借入額を減らせる可能性があります。
ただし、学費を払うために長時間アルバイトをすることを前提にするのは避けた方がよいでしょう。
アルバイトが授業や試験勉強に影響し、単位取得や卒業が遅れてしまえば、結果的に大学費用が増える可能性もあります。
アルバイトは大学費用全体を支えるものではなく、生活費などの一部を補う手段として考えるのが現実的です。
老後資金まで使って無理に全額負担しない
大学費用について親が最も悩みやすいのが、「子どものためなら、できる限り出してあげたい」という気持ちと家計の現実との間です。
奨学金を背負わせたくないからと、親の貯蓄を大きく取り崩すことを考える方もいるでしょう。
しかし、大学費用を全額負担するために、親自身の老後資金まで使い切ってしまうことには注意が必要です。
大学進学には奨学金や授業料減免など複数の支援策がありますが、親の老後生活には大学の奨学金のような仕組みはありません。
大学費用を出しすぎた結果、老後に生活資金が不足して子どもから援助を受けることになれば、負担を将来へ移しただけになってしまう可能性があります。
そのため、「貯金が500万円あるから500万円まで大学費用に使える」と単純に考えないことが大切です。
住宅ローンや日々の生活費、緊急時の予備資金、兄弟姉妹の教育費、老後に必要なお金などを残したうえで、大学費用へ回せる金額を決めましょう。
たとえば、親が全額負担すると老後資金まで取り崩す必要があるのであれば、次のような組み合わせも考えられます。
- 親は無理なく出せる範囲まで負担する
- 給付型奨学金や授業料減免を優先して利用する
- 不足分だけ貸与型奨学金を利用する
- 生活費の一部を本人のアルバイトで補う
「子どもに1円も負担させないこと」だけが、大学費用を支援する方法ではありません。
親が無理なく支援を続けながら、使える制度と本人負担を組み合わせて卒業までの資金計画を作ることが、家族全体にとって現実的な対処法です。
大学費用を全額出せないと分かったときこそ、「親として足りない」と考えるのではなく、まず利用できる制度と不足額を整理するところから始めましょう。
大学費用を親が出す割合に関するよくある質問
大学費用を親がどこまで出すか考えていると、「親には学費を払う義務がある?」「奨学金だけでも進学できる?」など、さまざまな疑問が出てくるでしょう。
特に大学費用が家計にとって大きな負担になる場合は、進学後にお金が足りなくならないか不安になるものです。
ここでは、大学費用を親が出す割合について考える際に気になりやすい疑問をまとめて解説します。
親に大学費用を払う義務はある?
「大学へ進学するなら、学費は親が全額払わなければならないの?」と疑問に思う方もいるでしょう。
親には子どもを扶養する義務がありますが、大学費用について「親が必ず全額負担しなければならない」と一律に決められているわけではありません。
大学費用をどこまで負担する必要があるかは、子どもの年齢や家庭の経済状況、これまでの進学に関する話し合いなど、個別の事情によって判断が変わる可能性があります。
そのため、「法律上の義務があるか」と「家庭としてどこまで支援するか」は分けて考えることが大切です。
実際には、前述したように大学の授業料などを保護者や親族が負担している家庭は多くあります。
一方で、奨学金やアルバイトを利用して学生本人が大学費用の一部を負担するケースもあります。
「周りの親が払っているから、うちも全額出さなければならない」と無理をする必要はありません。
親が負担できる金額と子どもが負担できる範囲を確認し、家族で納得できる方法を決めることが重要です。
奨学金だけで大学に行ける?
親から大学費用をほとんど出してもらえない場合、「奨学金だけで大学へ行けるのだろうか」と考える方もいるでしょう。
奨学金を利用して大学費用の不足分を補うことは可能ですが、奨学金だけですべての大学費用をまかなえるとは限りません。
大学進学には、授業料だけでなく入学金、教材費、通学費などが必要です。
一人暮らしをする場合には、さらに家賃や食費、水道光熱費などもかかります。
また、奨学金には返済不要の給付型と、卒業後などに返済が必要な貸与型があります。
まず給付型奨学金や授業料・入学金の減免制度を利用できないか確認し、それでも不足する金額について貸与型奨学金を検討するのが基本です。
貸与型奨学金だけで多額の費用をまかなおうとすると、卒業後の返済額も大きくなります。
そのため、自宅通学やアルバイト、親から出してもらえる金額なども含めて、必要な借入額をできるだけ抑えることが大切です。
大学の学費が払えないと除籍になる?
大学の学費を期限までに払えない場合、最終的に除籍などの措置を受ける可能性があります。
ただし、支払期限を過ぎた瞬間に必ず除籍になるという意味ではありません。
学費の納付期限や未納時の取り扱いは大学によって異なります。
大学によっては、事情に応じて授業料の延納や分納などを申請できる場合があります。
授業料減免や大学独自の支援制度を利用できる可能性もあります。
そのため、学費を期限までに用意できないと分かったら、そのまま放置しないことが重要です。
「払えないかもしれない」と分かった段階で、大学の学生課や学費を担当する窓口へ相談しましょう。
大学によって制度や申請期限が違うため、できるだけ早く相談することで選択肢を残しやすくなります。
親にお金がない場合はどうする?
「大学へ行きたいけれど、親に大学費用を出す余裕がない」というケースもあります。
親にお金がないからといって、すぐに大学進学を諦める必要はありません。
まず確認したいのは、返済する必要のない支援制度です。
具体的には、次のような選択肢があります。
- 給付型奨学金を利用する
- 授業料・入学金の減免制度を利用する
- 大学独自の奨学金や特待生制度を確認する
- 自宅から通える大学を選んで生活費を抑える
- 不足する部分だけ貸与型奨学金などで補う
「親がお金を出せない=大学へ行けない」ではなく、「親が出せる金額+返済不要の支援+不足分への対策」に分けて考えることが大切です。
たとえば、親が入学金だけを負担し、授業料減免と給付型奨学金を利用できれば、本人や家庭が実際に用意しなければならない金額は変わります。
それでも不足する場合には、貸与型奨学金や国の教育ローンなどを検討します。
最初から多額の借入を前提にするのではなく、「支払う金額を減らす方法」から確認することが重要です。
大学生には年間いくらお金が必要?
大学生に必要なお金は、進学する大学や学部、通学方法などによって大きく異なります。
日本学生支援機構の「令和4年度学生生活調査」では、大学学部昼間部の学生生活費は年間平均182万4,700円でした。
この学生生活費には、授業料などの学費だけでなく、食費や住居・光熱費、娯楽費などの生活費も含まれています。
ただし、この平均額をそのまま「わが家も年間182万円必要」と考える必要はありません。
特に大きな違いが出るのが、自宅通学と一人暮らしです。
自宅から通えば住居費などを抑えられますが、一人暮らしでは家賃や食費、水道光熱費などが必要になります。
国公立か私立か、文系か理系かによっても学費は変わります。
平均額を見るだけでなく、進学予定の大学の学費と通学方法をもとに「わが家の場合はいくら必要か」を計算しましょう。
入学前に4年間の概算額を出しておけば、親がどこまで負担できるのか、奨学金が必要なのかも判断しやすくなります。
大学費用を親が全額出す家庭は多い?
「周りは親が全部出しているように見えるけれど、実際はどうなの?」と気になる方も多いでしょう。
大学へ納める学費については、親や親族が中心となって負担している家庭が多いことが調査から分かります。
前述した全国大学生活協同組合連合会の調査では、大学納付金を「保護者・親族のみ」が支払った割合は76.0%でした。
一方、日本学生支援機構の学生生活調査では、大学学部昼間部の学生生活費に占める家庭からの給付割合は60.1%です。
この2つの数字は矛盾しているわけではありません。
「学費は親が中心に負担しているが、生活費まで含めた大学費用全体では奨学金やアルバイトなども使われている」と考えると分かりやすいでしょう。
つまり、「学費を親が出している家庭が多い」ことと、「大学生活にかかるお金を親が100%負担している家庭が多い」ことは別の話です。
自宅通学なら親が大学費用の大部分を負担しやすい一方、一人暮らしでは本人が生活費の一部をアルバイトで補ったり、奨学金を利用したりするケースもあります。
「全額出せない自分たちは普通ではない」と考える必要はありません。
他の家庭の割合は参考にしながらも、親の収入や貯蓄、兄弟姉妹の教育費、老後資金まで考え、4年間無理なく続けられる負担方法を決めることが大切です。
まとめ|大学費用は家庭に合った負担割合を決めよう
大学費用について、「親なら全額出すのが普通なのでは?」と悩む方は少なくありません。
実際、大学の授業料などは保護者・親族が中心となって支払っている家庭が多く、親からの支援が大学生活を支える大きな柱になっています。
一方で、学費だけでなく生活費まで含めると、奨学金やアルバイトなどを組み合わせている学生もいます。
「大学費用は親が何割出すのが正解」と考えるのではなく、何を親が負担し、何を本人が負担するのかを決めることが大切です。
この記事の重要なポイントをまとめると、次のとおりです。
- 大学生の学生生活費のうち、家庭からの給付は約6割を占める
- 大学納付金は「保護者・親族のみ」が支払う割合が約8割と高い
- 学費は親、生活費や娯楽費の一部は本人という分担方法もある
- 国公立・私立、自宅通学・一人暮らしによって必要な大学費用は大きく変わる
- 全額出せない場合は、給付型奨学金や授業料・入学金の減免を優先して確認する
- 不足分には貸与型奨学金や国の教育ローンなども利用できる
- 兄弟姉妹の教育費や親自身の老後資金まで考えて負担額を決める
大学費用を全額出せないからといって、無理をして貯蓄や老後資金まで使う必要はありません。
まず4年間で必要になる金額を確認し、親が無理なく出せる金額を決めてから、不足分をどう補うか考えてみましょう。
周りの家庭の「普通」に合わせるのではなく、親と子どもの双方が納得し、卒業まで続けられる負担方法を見つけることが大切です。